循環器疾患について


「ペースメーカーについて」

 心臓は脈拍の数だけ収縮と拡張をくり返しており、全身に血液を送っています。健康な人の脈拍は、
1分間に70〜80ぐらいですが、60未満を徐脈(じょみゃく)といいます。ところが、ひどい徐脈
になると、脈拍が40未満になることがあります。
また、普段の脈拍は普通でも、時々心臓が何秒間も休んでしまうことがあります。
いずれも原因は不整脈によりますが、このように、脈が極端に遅くなってしまったり、心臓が休んで
しまうような状態が起こると、全身を流れる血液の循環が悪くなってしまいます。
特に脳は敏感で、脳の循環が悪くなると、頭がフラフラしたり、ひどい時は意識を失ってしまう(失神する)
ことがあります。身体もだるくなります。ペースメーカーはこういった状態を予防するために、脈の
遅くなる不整脈のある患者さんに適応となります。

 ペースメーカーは左右どちらかの胸の上部(鎖骨の下)に埋め込む小さな器械のことです。
そこから電極(電気の線のようなもの)を心臓の中につないで、心臓の筋肉を電気的に刺激して心臓を
動かそうとするものです。

ペースメーカーにはいろいろな種類がありますが、主に脈拍がペースメーカーの設定した数よりも少なく
なる時、心臓の筋肉を刺激して心臓を動かします。
ですからペースメーカーを埋め込んでいる人でも、脈が設定した数よりも多い時は、ペースメーカーは
それを感知するだけで刺激を出しません。

 このようにペースメーカーは脈拍が遅くなった時のみ刺激を出して心臓を動かします。

 ペースメーカーの寿命は、器械の種類によっても、患者さんによっても違いますが、
5〜10年ぐらいです。
ペースメーカー埋め込みの手術は簡単で、ほとんどは1時間以内に終わり、電池交換の場合はもっと
短くてすみます。

 ペースメーカーを埋め込んだ患者さんは、ほとんどの場合、普通の日常生活は支障ありませんが、
定期的に外来通院をして、器械が正常に動いているかどうか、電池の寿命は大丈夫か等をチェックする
必要があります。

 最近では電車の中で「ペースメーカー等に支障をきたす恐れがありますので携帯電話のスイッチを
切って下さい」というアナウンスを耳にしますが、実際のところ携帯電話をペースメーカーに15センチ
以内に近づけなければ、よほどのことがない限りペースメーカーに支障はないと言われています。
ペースメーカーを埋め込んでいる人でも、埋め込んでいる反対側の耳にあてれば携帯電話は使えるのです。

 ペースメーカーも年々進歩し、器械の大きさが小さくなっただけではなく、性能もよくなり、
いろんな機能をもっているペースメーカーが使われるようになりました。